高額療養費の上限引き上げ、不妊治療への影響を計算した
「高額療養費の上限が上がるって聞いたけど、自分の負担はいくら増えるの?」
「体外受精の途中で制度が変わったら、計画が狂う」
SNS上の匿名の声を要約・意訳しています
2026年8月から、高額療養費制度の自己負担限度額が引き上げられます。 不妊治療中の方にとっては、毎月の窓口負担が数千円単位で増える変更です。 この記事では、年収別にどれだけ負担が変わるかを具体的に計算します。
何が変わるのか
2025年12月の社会保障審議会で、高額療養費の月額上限を一律7%引き上げることが決まりました。 多数回該当の上限は据え置きです。
| 所得区分 | 年収目安 | 現行の上限 | 2026年8月〜 | 増額 |
|---|---|---|---|---|
| ア | 約1,160万以上 | 252,600円+ | 270,300円+ | +17,700円 |
| イ | 約770〜1,160万 | 167,400円+ | 179,100円+ | +11,700円 |
| ウ | 約370〜770万 | 80,100円+ | 85,800円+ | +5,700円 |
| エ | 約370万以下 | 57,600円 | 61,600円 | +4,000円 |
| オ | 住民税非課税 | 35,400円 | 37,900円 | +2,500円 |
「+」は総医療費が一定額を超えた分の1%が加算される意味です。 金額は厚生労働省の発表に基づく概算です。
不妊治療への影響を具体的に計算
最もボリュームが大きい区分ウ(年収370〜770万円)で、体外受精を例に計算してみます。
体外受精1周期(採卵+移植)の場合
体外受精1周期の保険適用分の窓口負担は、おおむね10〜15万円程度です。 高額療養費の上限を超えるため、実質負担は上限額になります。
現行の実質負担: 80,100円(+医療費の1%)
改定後の実質負担: 85,800円(+医療費の1%)
→ 1周期あたり約5,700円の負担増
3周期の累計で考えると
現行: 80,100円 × 3 = 約24万円
改定後: 85,800円 × 3 = 約26万円
→ 3周期で約17,100円の負担増
ただし、多数回該当(直近12ヶ月で上限到達が3回以上)の場合は、4回目以降の上限は据え置きです。 つまり、治療が長期化している方への影響は限定的です。
治療ステージとお住まいを選ぶだけ。登録不要です。
多数回該当は据え置き。これが意味すること
多数回該当の上限額は今回の改定では変更されません。 区分ウの場合、4回目以降は引き続き44,400円が上限です。
| 区分ウの場合 | 通常の上限 | 多数回該当 |
|---|---|---|
| 現行 | 80,100円+ | 44,400円 |
| 2026年8月〜 | 85,800円+ | 44,400円(据え置き) |
つまり、体外受精を4周期以上続けている方は、多数回該当が適用されていれば今回の改定の影響を受けません。 逆に、1〜3周期目の方は5,700円/月の負担増になります。
多数回該当の回数カウントについては「今月あといくら」を把握する記事で詳しく解説しています。
8月より前にできること
制度改正前にできる対策は限られますが、以下は検討の余地があります。
1. 治療スケジュールの確認
7月中に完了できる周期は、現行の上限額が適用されます。主治医と相談の上、可能なら7月中に採卵・移植をまとめることも選択肢です。ただし治療の最適なタイミングが最優先です。
2. 限度額適用認定証の更新確認
8月以降は限度額が変わるため、認定証の上限額も自動的に更新されます。マイナ保険証を使っている場合は自動反映されるため手続き不要です。
3. 医療費控除で取り戻す
高額療養費の上限が上がると、自己負担額が増えます。その分、年間の医療費合計も増えるため、確定申告での医療費控除の還付額も大きくなります。
2027年8月にはさらに大きな変更が控えている
今回の改定は序章です。2027年8月には、所得区分が現行の5区分から13区分に細分化される予定です。 これにより、所得に応じた負担がより細かく設定されます。
詳細が発表され次第、この記事を更新します。
関連する制度を組み合わせて負担を減らす
高額療養費だけでなく、以下の制度を併用することで実質負担をさらに抑えられます。
免責事項
本記事の金額はすべて概算です。実際の自己負担限度額は加入する健康保険の判定に基づきます。 改定額は2025年12月の厚生労働省発表に基づく概算であり、確定値と異なる場合があります。 治療スケジュールの変更は主治医にご相談ください。
管理人
にんかつのミカタ 編集部
不妊治療中の当事者として、自身の経験をもとに費用・制度情報を発信しています。すべての記事は公的データに基づいています。