治療費が足りない。そんなとき知っておきたい5つの選択肢
「助成金使っても全然足りない。貯金が底を突きそうで怖い」
「来月の採卵費用が出せない。でも年齢的に治療を中断したくない」
「保険適用になっても自費部分が多すぎる。どこからお金を捻出すればいいの」
SNS上の匿名の声を要約・意訳しています
不妊治療は「いつ終わるか分からない」治療です。 計画通りに進まないことも多く、想定より費用が膨らむケースは珍しくありません。 治療を続けたいのにお金の不安で迷っている方に向けて、使える制度と資金の選択肢を整理しました。
大切なのは「選択肢を知っておくこと」です。 いざというときに慌てないために、治療を始める前や途中の段階で全体像を把握しておきましょう。
選択肢1. 公的な助成金を使い切る
まず確認してほしいのは、自治体の助成金を使い切っているかどうかです。 2022年の保険適用拡大後も、先進医療費に対する助成制度は多くの自治体で継続しています。 東京都なら1回あたり最大15万円、6回まで利用できます。
助成金は「申請しなければもらえない」制度です。 対象になる治療を受けていても、自動的には適用されません。 まだ申請していない方は、お住まいの自治体の窓口に確認してください。
自治体ごとの助成金額の違いは助成金の自治体格差の記事で詳しく比較しています。
選択肢2. 高額療養費制度を最大限に活用する
高額療養費制度を使えば、保険適用分の自己負担には月ごとの上限があります。 さらに、12ヶ月以内に3回上限に達すると「多数回該当」になり、4回目以降は上限がさらに下がります。
見落としがちなのは、通院のタイミングによって実質負担が変わることです。 月をまたいで採卵と移植をすると、同じ治療でも数万円余計にかかるケースがあります。
月の累計を追跡して損を防ぐ方法は高額療養費「あといくら」の記事で解説しています。
選択肢3. 医療費控除で翌年に取り戻す
年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を使えます。 不妊治療は高額になりやすいので、還付額も大きくなります。 年収500万円で年間100万円の医療費なら、約27万円が戻ってくる計算です。
先進医療費も交通費(電車・バス)も対象です。 領収書を毎月まとめておけば、確定申告の負担も減ります。
年収別の還付額の計算は医療費控除の記事で詳しくまとめています。
治療ステージとお住まいを選ぶだけ。登録不要です。
選択肢4. 医療ローンを検討する
公的制度を使い切っても足りない場合、医療ローンという選択肢があります。 クリニックが提携している医療ローンは、一般的なカードローンより金利が低いケースが多く、治療費の分割払いに利用できます。
医療ローンの主な特徴
金利は年3〜10%程度(提携先による)
治療費に特化しているため審査が通りやすい傾向
クリニック窓口で申し込めることが多い
分割回数は6〜84回程度
まずは通院先のクリニックに「分割払いや医療ローンの取り扱いはありますか?」と聞いてみてください。 提携ローンがない場合でも、銀行のフリーローンが使えるケースがあります。
選択肢5. つなぎ資金としてのキャッシング
「助成金の入金まで2ヶ月あるけど、来月の採卵費用が足りない」。 こうした一時的な資金ギャップが問題になることがあります。 助成金や高額療養費の還付は、実際に手元に届くまでに1〜3ヶ月かかります。
このような「つなぎ」のための短期借入として、キャッシングを利用する方もいます。 計画的に利用すれば、治療のタイミングを逃さずに済む手段の一つです。
利用する場合の注意点
借入額は「還付・助成金で返済できる範囲」に抑える
返済計画を立ててから申し込む
複数社からの借入は避ける
金利や返済総額を事前に確認する
キャッシングは金利負担が発生します。長期の借入には向きません。 あくまで「一時的なつなぎ」として、還付金で返済できる見通しがある場合の選択肢です。
選択肢の優先順位
費用の負担を軽くする方法には順番があります。 コストがかからない公的制度から順に活用して、それでも足りない部分を民間の手段で補うのが基本です。
助成金(コスト: ゼロ)
申請するだけで数万〜数十万円が戻る。最優先で確認
高額療養費(コスト: ゼロ)
月の上限を超えた分が戻る。限度額適用認定証で立替も不要に
医療費控除(コスト: ゼロ)
確定申告で翌年に還付。先進医療費や交通費も対象
医療ローン(コスト: 金利あり)
分割払いで月々の負担を平準化。クリニック提携が有利
キャッシング(コスト: 金利あり)
還付までのつなぎ用途。短期・少額に限定して計画的に
「今しかない」と「お金」の板挟みになったら
不妊治療には年齢というタイムリミットがあります。 「来月に延期しよう」が、文字通り成功率の低下につながることもあります。 だからこそ、お金の問題で治療を中断する前に、使える制度と選択肢を全て把握しておくことが大切です。
シミュレーターで費用の見通しを立てておけば、「あとどのくらい必要か」が具体的に見えてきます。 見通しが立つだけで、不安は少し軽くなります。
費用全体の構造を把握したい方は不妊治療の費用の全体像の記事を参考にしてください。 高額療養費の活用方法は「あといくら」の記事で詳しく解説しています。
出典・参考情報
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
- 各自治体の助成金制度は2026年3月時点の情報に基づいています
免責事項
本記事は資金調達の選択肢を情報として整理したものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。 借入を検討する場合は、金利・返済条件を十分に確認し、ご自身の返済能力に見合った範囲でご利用ください。
管理人
にんかつのミカタ 編集部
不妊治療中の当事者として、自身の経験をもとに費用・制度情報を発信しています。すべての記事は公的データに基づいています。